競争力強化して、利益残らなかったら意味なくない!?
ナマステ!
最近になって、日本の農業競争力を高める目的で「農業競争力強化法」が成立しました。
この法律の成立前後に、「種苗法」廃止のニュースが駆け巡ったので、あまり話題にならなかっただと思います。
この記事とか「別名モンサント法」といって、もう外資が入り込む前提で書いちゃっていますね。恐ろしや。
種苗法廃止も大きなニュースですが、この法律も今後の農業を左右する大きいニュースなので、成立後にどういうことが起こるのか、元農業資材販売をしていた私なりに考えを述べたいと思います。
※種苗法廃止とは・・・これまで国、地方自治体で保有している米・麦・大豆等の品種を、民間に譲渡することにより競争力を強化=価格の低下をさせようという狙いで廃止させた。
主な理由としては、「民間の開発意欲を削いでいる」との指摘があったとのことだが、外資の流入や、公的な交付金が払われなくなり、種子の維持が難しくなるのでは無いかとの意見も多い。
農業競争力強化法のなかみ
この法案を一言でいうと「JA全農を骨抜きにする法案」だと思います。
農業競争力強化法が成立 流通合理化、資材値下げ|佐賀新聞LiVE
要は価格について、何も考えずに農業資材(種、農薬、肥料等)を購入していた農家や、農薬・肥料の全国流通の過半数近くを握っている筆頭販売業者のJA全農に対して、資材のコストを下げなさいという法案なのです。
ただ、全農以外の業者もかなり影響を受けそうです。
今後の影響① 本当に競争が激化、中小の農業資材業者は残っていけない!
上記の、農業競争力強化法のポイント中に記載している
農薬や肥料の銘柄集中の推進
これが大きなポイントになりそうです。
今まで農協とか販売店は、販売力やメーカーとの付き合いなどを鑑みて、ある程度の銘柄を絞り込んでラインナップを決めている場合が多いです。
それを更に絞れというのは、ちょっと酷な話ですし、絞ったら絞ったでさらなる競争を招き、利益が上がらない原因を作ります。
全農は資金力も販売力もありますが、そうではない卸売業者や小売業者は確実に倒産します。
農水省は、JA全農にメスを入れたいのか、卸売や小売を潰したいのか
これでは意図が全く見えません。
なお、農水省では農薬費低減の取り組みの例を出していますが、これも資金に余裕がある農協だからこそ出来るわけであって、業者に同じ事は中々難しいです。
農水省が農家を農協に惹きつけようとしているようにしか、私には思えません。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/jjkaigou/dai33/siryou2.pdf
今後の影響② いい農業資材が手に入らないかも?
農業資材業界もまた、大企業と中小企業の差が大きい業界です。
あまり下請けをしている例こそ聞きませんが、どの企業も自分のブランドを持って、ニッチな所で勝負を仕掛けている会社がたくさんあります。
例えば、井上石灰という石灰の販売をしている会社があるのですが、販売しているのは石灰のみという一点集中型の企業です。
ですが、石灰という自然農薬分野では唯一の企業であるし、パイオニアだからこそJICAのプロジェクトに採択されるなど、ニッチな分野では非常に強い会社です。
もし農薬業界再編なんてことになれば、井上石灰の様にプライドをもって一点集中で作られている商品が身売りなどで、どんどん消えていくことになるでしょう。
まとめ 耐久レースか、はたまた利益を求めて談合か…
国はJA全農だけではない、商系業者との競争力を高めるために、価格を下げる圧力をかけはじめてきました。
この競争の先にあるのは、利益を削る潰し合いか、談合の道なのでしょうか。
この法律を見る限り、農家にとってメリットだらけとはいえなさそうです。
一見、資材代が安くなるというメリットを享受できますが、その反面メーカーの廃業による必要な資材の製造中止などで、思わぬデメリットも受けるかもしれません。
農業資材で一番価格の引き下げが困難なのは「ダンボール」です。
これまでも繰り返し談合を行い、その度に独禁法違反になっています。
利益がでないと談合をするなんてことが、農業資材業界全体で出ないか心配です。
農水省はもう少し農業資材流通を知った上で、法律を作ってもらいたかったです。
「業者は農水省が考えている程、利益とってないよ~」
と言って、終わりにしたいと思います。では