日本でも見直して欲しい!種を取るという文化。
なますて!
今日は、野菜の種のお話をしたいと思います。
突然ですが、皆さんは「在来作物」ってご存知ですか?
在来作物とは?
在来作物(ざいらいさくもつ)とは「ある地域で、世代を越えて、栽培者によって種苗の保存が続けられ、特定の用途に供されてきた作物」です。親から子へ、子から孫へ、代々にわたり採種(タネをとること)の方法、さらにはイモの保存方法といった種苗の保存のノウハウ、焼き畑のような昔ながらの農法とともに、地域や農家に受け継がれてきた作物です。
在来作物とは固定種の一種で、品種改良が行われていない種から作られた作物の事で、主に地域を限定して作られているものが多いです。
「固定種とは何か?」という方は下のページを見てください。分かりやすくまとめてあります。
山形県は全国で屈指の在来作物王国
一般の種屋さんやホームセンターなどでは手に入らず代々種取りをしてるのが、在来作物や固定種でありますが、私の地元である山形県は、日本で屈指の在来作物(野菜)王国でもあります。
そんな山形県の在来作物をまとめたドキュメンタリー映画まであるんですよ!
この映画は山形県庄内地方の在来作物をテーマに、種を守り抜く生産者と、独自の調理法で在来作物に脚光をあてた「アル・ケッチャーノ 奥田シェフ」にフォーカスをあてた作品です。
山形の庄内地方は北前船の寄港地だったこともあり、古くからの伝統があります。
その上で、伝統を守ろうという人々が本当に多いという事が、ここからもよくわかります。
日本で焼き畑農業!?
焼き畑農業というと、それこそアフリカとか東南アジアなど協力隊が行くような国々で行われているイメージがあります。
ところが山形県庄内地方の一部地域では、急斜面にある間伐した林に火をつけ、カブの種を蒔く習慣が残っています。
一度火をつけることで、下草が良質な肥料になり施肥する必要がないのだそうです。
アグロフォレストリーという、途上国でバナナやヤシの木の下で野菜や作物を栽培するという農業技術があるのですが、このやり方はまさしくそれです。
一部引用
ネパールでの種取りって!?
現在、協力隊で活動しているネパールでも種取りは普通に行われています。
上の写真は野菜を売っている店で、腐りなどで売り物にならないトマトを種取り用として、農家にあげている場面です。
他にも私が見ただけでも、トマト・油菜・大豆・ジャガイモなどなど種取りをしているのを確認しています。
このトマトはF1の品種で、ここから種を取って蒔くとF2となり、親の形質を引き継がない可能性が高いのですが、そんなことはネパール人にはお構いないのかもしれません。
大量生産もいいけど…
日本の場合、同じ形質の種を同じ圃場に蒔くことで、安定的な生産を可能にしています。
毎日同じ野菜がスーパーに並ぶために、こうした生産方法も必要なのです。
でも大量生産でなくても、病害虫に弱くても、美味しいからという理由で作り続ける在来作物はそんな大量生産という時代に何かを訴えているように思います。
「甘いトマトもいいけど、昔ながらの酸っぱいトマトもいいよね」というご年配の方の声もたまに聞きます。
そうしたニッチなニーズに応えつづける在来作物は、これからも火を絶やさずに残していってほしいと思います。